星野友幸
ピンクに託す、心情の景色
大学受験の勉強に明け暮れていたある深夜、星野はなにげなく陶芸家の特集番組を目にした。
土を採取し、捏ね、成形して焼く。
その素朴な作業によって、ひとつの作品ができある工程を目の当たりにしたとき、自身が考える「職業」とはかけ離れた仕事を生業に生きる人々がいることを知った。それは、今までの人生とは異なる価値観に出会った瞬間であった。
彼は、磁器と陶器、両方を制作する稀有な陶芸家である。
独学で制作を始めたという磁器は、「練継(ねりつぎ)」という技法を編み出したことによって軌道に乗り始めた。滲み出るようなピンクのマーブル模様と、無垢な磁器肌の余白が織りなすコントラストは、色相の異なる土を継ぐという独自の発想から生まれた。一方陶器は、シュガーグレーズをたっぷりと掛けた菓子のような石灰釉が、さまざまなピンクの表情を引き出している。
星野の作品は、受け継がれてきた美意識と現代的な感覚が両立されており、またそれぞれの素材の特性を伸びやかに生かした造形も特徴的である。
共通するのは、すべての作品を染める象徴的なピンクだろう。
なぜこの色かという問いに、星野は「ピンクが自身の内面を象徴していると感じるから」だと答える。
子供のころから自分を表現することが得意ではなかった彼は、いつも抑圧してしまう自身を感じていた。あの夜に見た映像がずっと記憶の片隅に残っていたのは、土と色を介してなら自己表現できると、本能的に感じたからかもしれない。
うまく言い表せないもの、人にさらけ出せない恥ずかしいもの、内に抱える業や欲。
抑えても抑えきれない、自身のこの本質的な一部分は、いつしかピンクという色にのって、土の表面に表れてきた。
ロクロで土を伸ばすとき、土に添わせる指先から、自分の一部が徐々に溶け込んでいくような感覚がする。力をかければ、その通りに変形してくれる土の優しさ。心地よく土と触れ合ったさきに、柔らかなピンクが作品にふわりと浮かび上がっていく。心の内を代弁するかのように、さまざまな思いが作品にたち表れてくる。
「いい形のものを、美しく作れ」
繰り返し教えてくれた師の言葉が耳に残る。
星野の作品の、洗練された造形と、心をくすぐる色合いの妙。
土と色に託されたものは昇華され、作品という深みをもって、私たちの前に可憐にたたずんでいる。
憧れにも似た気持ち、まるでひとときの心地よい夢を見るかのように、この作品をずっと眺めていたいという気持ちになる。
B-OWND
土を採取し、捏ね、成形して焼く。
その素朴な作業によって、ひとつの作品ができある工程を目の当たりにしたとき、自身が考える「職業」とはかけ離れた仕事を生業に生きる人々がいることを知った。それは、今までの人生とは異なる価値観に出会った瞬間であった。
彼は、磁器と陶器、両方を制作する稀有な陶芸家である。
独学で制作を始めたという磁器は、「練継(ねりつぎ)」という技法を編み出したことによって軌道に乗り始めた。滲み出るようなピンクのマーブル模様と、無垢な磁器肌の余白が織りなすコントラストは、色相の異なる土を継ぐという独自の発想から生まれた。一方陶器は、シュガーグレーズをたっぷりと掛けた菓子のような石灰釉が、さまざまなピンクの表情を引き出している。
星野の作品は、受け継がれてきた美意識と現代的な感覚が両立されており、またそれぞれの素材の特性を伸びやかに生かした造形も特徴的である。
共通するのは、すべての作品を染める象徴的なピンクだろう。
なぜこの色かという問いに、星野は「ピンクが自身の内面を象徴していると感じるから」だと答える。
子供のころから自分を表現することが得意ではなかった彼は、いつも抑圧してしまう自身を感じていた。あの夜に見た映像がずっと記憶の片隅に残っていたのは、土と色を介してなら自己表現できると、本能的に感じたからかもしれない。
うまく言い表せないもの、人にさらけ出せない恥ずかしいもの、内に抱える業や欲。
抑えても抑えきれない、自身のこの本質的な一部分は、いつしかピンクという色にのって、土の表面に表れてきた。
ロクロで土を伸ばすとき、土に添わせる指先から、自分の一部が徐々に溶け込んでいくような感覚がする。力をかければ、その通りに変形してくれる土の優しさ。心地よく土と触れ合ったさきに、柔らかなピンクが作品にふわりと浮かび上がっていく。心の内を代弁するかのように、さまざまな思いが作品にたち表れてくる。
「いい形のものを、美しく作れ」
繰り返し教えてくれた師の言葉が耳に残る。
星野の作品の、洗練された造形と、心をくすぐる色合いの妙。
土と色に託されたものは昇華され、作品という深みをもって、私たちの前に可憐にたたずんでいる。
憧れにも似た気持ち、まるでひとときの心地よい夢を見るかのように、この作品をずっと眺めていたいという気持ちになる。
B-OWND
















星野友幸
- 1976年
- 山梨県甲府生まれ
- 1999年
- 横浜市立大学商学部卒業。人材サービス企業にて5年間勤務
- 2005年
- 京都府立陶工高等技術専門校 成形科修了。猪飼祐一氏に師事
- 2007年
- 東京都国分寺市にて独立
個展
- 2026年
- 「ピンクと茶の湯と私 Season2」柿傳ギャラリー、東京
- 2026年
- 「星野友幸 陶磁展」福岡三越、福岡
- 2025年
- 「キュレーターズ・アイ 星野友幸展」山梨県立美術館、山梨
- 2025年
- 「Pink&Green」阪急メンズ東京 7F B-OWND Gallery、東京
- 2025年
- 「星野友幸『桃色の世界』展」銀座一穂堂、東京
- 2024年
- 「星野友幸陶磁展 -ピンク時々グレー-」日本橋三越本店、東京
- 2024年
- 「星野友幸 陶磁展 ピンク時々グレー」ギャラリー上方銀花、大阪
- 2023年
- 「星野友幸 陶磁展」福岡三越、福岡
- 2023年
- 「星野友幸 陶磁展 ーピンクと茶の湯と私ー」柿傳ギャラリー、東京
- 2022年
- 「星野友幸 陶磁展」ギャラリー栗本、新潟
- 2022年
- 「星野友幸 ー幸せのピンクー」ギャラリー上方銀花、大阪
グループ展
- 2026年
- 「小さきものはみな美しⅢ」柿傳ギャラリー、東京
- 2025年
- 「B-OWNDグループ展『TOOL or ART展 Vol.2』」阪急メンズ東京 1F Main Base B-OWND Gallery、東京
- 2025年
- 「三人展」YTF Gallery、台北
- 2024年
- 「二人展」YTF Gallery、台北
- 2024年
- 「二人展」四時 Season Gallery、北京
- 2024年
- 「アートで綴る 和光歳時記展」銀座和光ホール、東京
- 2024年
- 「Beautility: The Betweenness of Kogei」WHAT CAFE、東京
- 2023年
- 「Magic of the Tea Bowl III」Ippodo Gallery New York、ニューヨーク
- 2023年
- 「三人展」寺田美術、東京
- 2022年
- 「Magic of the Tea Bowl II」Ippodo Gallery New York、ニューヨーク
- 2019年
- 「陶の表現四人展」銀座和光ホール、東京
展示会
- 2025年
- 「TOOL OR ART」2025年日本国際博覧会 大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジ 、大阪
- 2025年
- 「ピクチャレスク陶芸展」パナソニック汐留美術館、東京
- 2023年
- 「陶芸の進行形」菊池寛実記念 智美術館、東京
- 2022年
- 「未来へつなぐ陶芸 ― 伝統工芸のチカラ ―」パナソニック汐留美術館ほか
受賞歴
- 2017年
- 2017年 第11回国際陶磁器展美濃 審査員特別賞(選考:藤本壮介)
- 2013年
- 第60回日本伝統工芸展 日本工芸会奨励賞
- 2013年
- 第22回日本陶芸展 特別賞・茨城県陶芸美術館賞
- 2013年
- 第5回菊池ビエンナーレ 奨励賞
コレクション
- 茨城県陶芸美術館
- 菊池コレクション
- イセ文化基金
- 府中市
