高橋奈己
究極の造形美を志向する陶芸家
人間では到底生み出せない造形美がある。それは自然物だ。
高橋は果実やつぼみなど自然が生み出すアシンメトリー(非対称)な造形の美しさに魅せられて以降、継続してそれらをモチーフに作品を制作している。
なぜ自然が生み出す造形美に惹かれ、どのようにその形を追求してきたのだろうか。
高橋は、第二次ベビーブーム世代ということもあり、幼少期はどこに行っても人、人、人がひしめきあい、一様に同じ行動を求められる窮屈さを感じる日々であったと述べている。
それは、武蔵野美術大学に入学しても変わらなかった。使いやすく、シンプルで美しい器。このテーマのもと、皆が同じようにロクロを回しているように思えた。
そんなあるとき、陶芸にも器以外の分野があることを知った。ロクロから離れ、造形的な作品を作りたいと思う気持ちが膨らみ、陶彫コースがあるイタリアのファエンツァ国立陶芸美術学校に入学することになる。制作の合間に、ミュージアムを見て周るが、西洋の作品を見れば見るほど、目に留まるのはアシンメトリーな日本の作品であった。特に、ファエンツァ国際陶芸美術館で開催された展示「樂茶碗400年・伝統と創造」に強い興味を惹かれた。
西洋の美が均整や完璧、華麗さを求めるのに対して、日本人の持つ美意識には、不均整や不完全、簡素なものに美を感じる要素がある。それらは、古くから「わび・さび」や「幽玄」 などの言葉に表現されてきた。言い換えれば、西洋においては秩序あるシンメトリー(左右対称)で人工的な美しさを求めるのに対し、日本では自然との調和を基本にしたアシンメトリー (非対称)の造形に美しさを求める。高橋はその美意識の差異を図らずもイタリアで感じ取ることになったのではないか。
造形美を追求するうちに、たどり着いた素材は、凛として美しい「白」という特性を持つ磁土であった。イタリアでは、マリア像などは磁土で作られており、磁土で造形作品を作ることに対しての希望が見えてきた。しかし、磁土は陶土よりも扱いが難しく、磁土で造形を創ることにあらゆる技法を試す必要があった。理想の造形を創るために、モチーフである非対称な形の「果実」を抽象化し、複数のパーツに分けて「鋳込む」という手間のかかる工程により制作することにたどり着く。
そして出来上がった作品には、鋭さと滑らかな線から生まれる陰影が立ち現れた。白磁の素地に映る陰影は、一様ではない。それらにはグラデーションがあり、空間や光に作用し、微妙な色合いの変化を映し出す。さらには、白一色の白磁だからこそ、陰影や造形の美しさが一段と増すのだ。
高橋が体現する、アシンメトリーという日本の美意識にも通底する究極の造形美には、分野を問わずすでに国内外から熱い視線が注がれている。
B-OWND
高橋は果実やつぼみなど自然が生み出すアシンメトリー(非対称)な造形の美しさに魅せられて以降、継続してそれらをモチーフに作品を制作している。
なぜ自然が生み出す造形美に惹かれ、どのようにその形を追求してきたのだろうか。
高橋は、第二次ベビーブーム世代ということもあり、幼少期はどこに行っても人、人、人がひしめきあい、一様に同じ行動を求められる窮屈さを感じる日々であったと述べている。
それは、武蔵野美術大学に入学しても変わらなかった。使いやすく、シンプルで美しい器。このテーマのもと、皆が同じようにロクロを回しているように思えた。
そんなあるとき、陶芸にも器以外の分野があることを知った。ロクロから離れ、造形的な作品を作りたいと思う気持ちが膨らみ、陶彫コースがあるイタリアのファエンツァ国立陶芸美術学校に入学することになる。制作の合間に、ミュージアムを見て周るが、西洋の作品を見れば見るほど、目に留まるのはアシンメトリーな日本の作品であった。特に、ファエンツァ国際陶芸美術館で開催された展示「樂茶碗400年・伝統と創造」に強い興味を惹かれた。
西洋の美が均整や完璧、華麗さを求めるのに対して、日本人の持つ美意識には、不均整や不完全、簡素なものに美を感じる要素がある。それらは、古くから「わび・さび」や「幽玄」 などの言葉に表現されてきた。言い換えれば、西洋においては秩序あるシンメトリー(左右対称)で人工的な美しさを求めるのに対し、日本では自然との調和を基本にしたアシンメトリー (非対称)の造形に美しさを求める。高橋はその美意識の差異を図らずもイタリアで感じ取ることになったのではないか。
造形美を追求するうちに、たどり着いた素材は、凛として美しい「白」という特性を持つ磁土であった。イタリアでは、マリア像などは磁土で作られており、磁土で造形作品を作ることに対しての希望が見えてきた。しかし、磁土は陶土よりも扱いが難しく、磁土で造形を創ることにあらゆる技法を試す必要があった。理想の造形を創るために、モチーフである非対称な形の「果実」を抽象化し、複数のパーツに分けて「鋳込む」という手間のかかる工程により制作することにたどり着く。
そして出来上がった作品には、鋭さと滑らかな線から生まれる陰影が立ち現れた。白磁の素地に映る陰影は、一様ではない。それらにはグラデーションがあり、空間や光に作用し、微妙な色合いの変化を映し出す。さらには、白一色の白磁だからこそ、陰影や造形の美しさが一段と増すのだ。
高橋が体現する、アシンメトリーという日本の美意識にも通底する究極の造形美には、分野を問わずすでに国内外から熱い視線が注がれている。
B-OWND
















高橋奈己
- 1997年
- 武蔵野美術大学短期学部専攻科(陶磁コース)卒業
- 1997年
- ファエンツァ国立陶芸美術学校在籍(イタリア)
個展
- 2026年
- 「高橋奈己展 陰影の装飾」日本橋三越本店 美術特選画廊、東京
- 2025年
- 「高橋奈己 個展『たゆたう輪郭』」HULS GALLERY TOKYO、東京
- 2025年
- 「高橋奈己展」寺田美術、東京
- 2025年
- 「高橋奈己個展『光と影の交響』」阪急メンズ東京 7F B-OWND Gallery、東京
- 2024年
- 「高橋奈己展」ぎゃるりい栗本、新潟
- 2024年
- 「高橋奈己 葉月の白磁展 Ⅷ」柿傳ギャラリー、東京
- 2023年
- 「高橋奈己展 ― 実の造形 ―」日本橋三越本店 美術特選画廊、東京
- 2022年
- 「高橋奈己 葉月の白磁展」柿傳ギャラリー、東京
- 2021年
- 「高橋奈己展」寺田美術、東京
グループ展
- 2026年
- 「小さきものはみな美し Ⅲ」柿傳ギャラリー、東京
- 2025年
- 「B-OWNDグループ展 『Tool or Art展 Vol.2』」阪急メンズ東京 1F MAIN BASE・7F B-OWND Gallery、東京
- 2025年
- 「A・LIFE・FROM・DEATH―死を日常に取り戻す、アートとしての骨壺展―」Blackbird Gallery(愛知)、AFRODE CLINIC(東京)
- 2024年
- 「Beautility: The Betweenness of Kogei」WHAT CAFE、東京
- 2024年
- 「B-OWNDグループ展『TOOL or ART展 Vol.1』」阪急メンズ東京 1F Main Base B-OWND Gallery、東京
- 2024年
- 「小さきものはみな美し Ⅱ」柿傳ギャラリー、東京
- 2023年
- 「アートで綴る和光歳時記」セイコーハウス銀座ホール、東京
- 2022年
- 「イタリア・グループ展」銀座和光ホール、東京
- 2022年
- 「深める・拡げる ― 拡張する伝統工芸展」日本橋三越本店、文化庁主催、東京
- 2021年
- 「小さきものはみな美し」柿傳ギャラリー、東京
アートフェア
- 2026年
- 第66回 日本陶磁協会賞 歴代受賞作家展2026 ART FAIR TOKYO 20
- 2024年
- 「COLLECT」ロンドン、イギリス
- 2021年
- 「FINE ART ASIA」香港
展示会
- 2026年
- 「工+藝 2026」菊池寛実記念 智美術館、東京
- 2025年
- 「TOOL OR ART」2025年日本国際博覧会 大阪・関西万博 フューチャーライフヴィレッジ 、大阪
- 2025年
- 「堺市・万博大茶会」2025年日本国際博覧会 大阪・関西万博、大阪
- 2023年
- 「陶芸の進行形」菊池寛実記念 智美術館、東京
- 2023年
- 「水のいろ、水のかたち展」国立工芸館、石川
- 2023年
- 「新たなカタチを求めて モールディング&カーヴィング」益子陶芸美術館、栃木
- 2022年
- 「未来へつなぐ陶芸 ― 伝統工芸のチカラ展」パナソニック汐留美術館ほか、全国巡回
- 2022年
- 「The Fourth Dimension ― うつわの未来へ」益子陶芸美術館、栃木
- 2021年
- 「うちにこんなのあったら展 気になるデザイン×工芸コレクション」国立工芸館、石川
- 2021年
- 「現代茶陶展のあゆみ」土岐市美濃陶磁歴史館、岐阜
- 2021年
- 「近代工芸と茶の湯のうつわ ― 四季のしつらい ―」国立工芸館、石川
受賞歴
- 2026年
- 日本陶磁協会賞(同25年)
- 2026年
- 「工+藝 2026」菊池寛実記念智美術館賞
- 2024年
- 第16回現代茶陶展 TOKI 織部優秀賞
- 2018年
- 第11回現代茶陶展 TOKI 織部大賞
- 2017年
- 「第3回金沢・世界工芸トリエンナーレ」入選
- 2017年
- 「第57回東日本伝統工芸展」入選(同2018,19,20,21,22,23,24,25年)
- 2017年
- 「第64回日本伝統工芸展」入選 (同18,19,20,21,22,23,24,25年)
- 2017年
- 「第24回日本陶芸展」茨城県陶芸美術館賞
- 2016年
- 「第63回日本伝統工芸展」新人賞
- 2016年
- 「第50回女流陶芸展」T氏賞
- 2013年
- 第4回菊池ビエンナーレ入選(同15,17.19年)
- 2008年
- 第8回国際陶磁器展美濃入選(同14,17,21年)
コレクション
- 梅小路ホテル京都
- TIAD HOTEL(名古屋)
- みずほ証券株式会社
- ザロイヤルパークホテル京都三条
- プラウド高輪
- 俵石閣
- NEST INN HAKONE
- エクシブ箱根離宮
- エクシブ鳥羽別邸
- 福岡空港国内線 JAL VIPラウンジ
- 芦屋ベイコート倶楽部
- 芝浦アイランドエアタワー
- 東京国立近代美術館(東京)
- 目黒雅叙園
- MID TOWER GRAND (月島)
- 六本木ヒルズプレミアムダイニングフロアー
- パレスホテル東京
- ハレクラニ沖縄
- 星のやグーグァン(台湾)
- 緑ヶ丘美術館
- 土岐市
- イセ文化基金
- ファエンツァ国際陶芸美術館(イタリア)
- INAXライブミュージアム(常滑、愛知)
- 茨城県陶芸美術館(茨城)
