「重みのあるカートゥーン」というテーマのもと、アメリカのカートゥーンアニメーションのイメージを取り込みながら、三次元的な作品を制作し、独特な世界観を表してきた宮下。これまでは、陶という素材を用いながらも、既製品のトイを解体し再構築するような、彫刻的なアプローチを試みてきた。
そんな宮下が立ち返ったのは、改めてアニメーションを「見る」という行為である。壺を回転させることでイメージを連続させ、それらが動いて見えるというアニメーションの原点。ひとつひとつのシーンは、壺の曲線や高低を意識して描かれており、鑑賞者の視線をさまざまに誘導する。多方向にぐるりと回転させることで、ようやくその全貌を明らかにするものの、角度によって見える景色は異なり、絵画的でもある。
サイケデリックな色彩は、そこで展開される不条理なストーリーを演出するとともに、その「グラデーション」によって、意識と無意識の狭間の状態、絵画とアニメーションの区別、善と悪の大義名分など、さまざまな境界の曖昧さを示唆する。
本作に描かれているのは、謎多きルネサンス期の画家・ヒエロニムス・ボスの《快楽の園》にインスパイアされた、サイケデリックな天国のイメージ。
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