氏家昂大

氏家昂大

氏家昂大

生命が脈打つ、気高き反骨精神

生物の硬い鱗、または分厚い皮膚を思わせるその表面は、凹凸に富み、また形もいびつである。
陶磁器のうわぐすりにできた、細かいひび割れ。
「貫入」というこの伝統的な技法は、その割れ目に鮮やかな色漆をしみこませることで、新たな表現へと生みなおされた。
器全体をめぐるその細い亀裂は、まるで透けた皮膚の下にのぞく毛細血管のように、どこか痛々しくも、確かな生命感を主張する。


氏家は、小耳症という先天性の一側性難聴を患い、不完全な左耳を持って生まれた。
1-2万人に一人という確率である。
幼少期はその耳の形成のため、10回にもわたる手術が行われたが、
しかし、その末に出来上がった耳は、氏家に大きなショックを与えた。
自分の身体の一部として、受け入れがたい形をしていたからだ。


繰り返された「痛み」の経験。それに加え、身体の一部に対して、「気持ち悪い」、と率直に感じた異物感。だがそれも紛れもなく自分自身であり、完全に否定することは、とうていできなかった。


それゆえに、自身の分身ともいえる作品をつくり出す行為は、氏家にとってこの強烈なコンプレックスと向き合い、自己を肯定していく過程でもある。


先天的な身体の不自由はしかし、この世の生き物には、一定数に起こりうることだ。それは生命の神秘によるものであり、どんな姿であっても、命の尊さには変わりはない。
多様性が叫ばれるこの社会のなかで、氏家の作品は「不完全な美」をありありと提示する。


苦しみを抱えているが、けして絶望はしないという意思。それらを昇華しようとする気概。
アーティストの生きざまを物語る作品には、気高き反骨精神ともいうべきものが表れている。


今まさに、陶芸というジャンルを超え、純粋に表現を追い求めようとする姿勢の先に、なにか大きな変化を迎える予感じみたものがある。それらはひそかに、しかし力強く、たしかな胎動を響かせはじめている。


B-OWND

生命が脈打つ、気高き反骨精神

生物の硬い鱗、または分厚い皮膚を思わせるその表面は、凹凸に富み、また形もいびつである。
陶磁器のうわぐすりにできた、細かいひび割れ。
「貫入」というこの伝統的な技法は、その割れ目に鮮やかな色漆をしみこませることで、新たな表現へと生みなおされた。
器全体をめぐるその細い亀裂は、まるで透けた皮膚の下にのぞく毛細血管のように、どこか痛々しくも、確かな生命感を主張する。


氏家は、小耳症という先天性の一側性難聴を患い、不完全な左耳を持って生まれた。
1-2万人に一人という確率である。
幼少期はその耳の形成のため、10回にもわたる手術が行われたが、
しかし、その末に出来上がった耳は、氏家に大きなショックを与えた。
自分の身体の一部として、受け入れがたい形をしていたからだ。


繰り返された「痛み」の経験。それに加え、身体の一部に対して、「気持ち悪い」、と率直に感じた異物感。だがそれも紛れもなく自分自身であり、完全に否定することは、とうていできなかった。


それゆえに、自身の分身ともいえる作品をつくり出す行為は、氏家にとってこの強烈なコンプレックスと向き合い、自己を肯定していく過程でもある。


先天的な身体の不自由はしかし、この世の生き物には、一定数に起こりうることだ。それは生命の神秘によるものであり、どんな姿であっても、命の尊さには変わりはない。
多様性が叫ばれるこの社会のなかで、氏家の作品は「不完全な美」をありありと提示する。


苦しみを抱えているが、けして絶望はしないという意思。それらを昇華しようとする気概。
アーティストの生きざまを物語る作品には、気高き反骨精神ともいうべきものが表れている。


今まさに、陶芸というジャンルを超え、純粋に表現を追い求めようとする姿勢の先に、なにか大きな変化を迎える予感じみたものがある。それらはひそかに、しかし力強く、たしかな胎動を響かせはじめている。


B-OWND

販売作品一覧

    氏家昂大

    現在、宮城県柴田郡にて制作
    1990年
    宮城県仙台市生まれ
    2013年
    東北芸術工科大学芸術学部美術科工芸コース 卒業
    2015年
    東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻工芸研究領域 修了
    個展
    2021年
    日本橋高島屋S.C.
    2021年
    ぎゃらりい栗本(新潟)
    2019年
    銀座一穂堂
    2018年
    宮城県杉村惇美術館(宮城)
    2017年
    Silver Shell(東京、京橋)
    2016年
    ギャラリー福果(東京、神保町)
    2015年
    ギャラリー数寄(愛知) 以後,18
    2014年
    LIXILギャラリーGINZAガレリアセラミカ
    グループ展
    2020年
    画廊 文錦堂「酒器展」以後,2021
    2020年
    The Stratford Gallery(イギリス)「Treasure of Japan」(イギリス)
    2020年
    銀座一穂堂「月夜の茶会」以後,2021
    2020年
    アトリエヒロ「開廊五周年企画展」(大阪)
    2020年
    うつわや涼一石「中川恭平、氏家昂大二人展」
    2020年
    酒の器Toyoda「春爛漫 花見盃」
    2020年
    Memorys Gallery敬「春の酒器展」
    2020年
    新宿髙島屋「TUAD ART-LINKS」
    2020年
    銀座一穂堂「翔ぶ鳥展」以後,2021,2022
    2019年
    うつわや涼一石(東京、大門)「後関裕士、氏家昂大二人展」
    2019年
    画廊 文錦堂(岐阜)「NEW Generation展2019」以後,2020
    2019年
    酒の器Toyoda(京都)「真夏の冷酒杯2019」
    2019年
    Memorys Gallery敬(東京、三軒茶屋)「夏の酒器展」
    2019年
    日本橋髙島屋「酒器展」以後,2021
    2019年
    日本橋三越本店「現代作家茶碗特集」以後,2020,2021
    2018年
    Silver Shell(東京、京橋)「氏家昂大、加藤委、若尾径、山田晶 4人展」
    2018年
    アトリエヒロ(大阪)「酒器展」
    2018年
    横浜高島屋「百花繚乱展」
    2017年
    ギャラリー数寄(愛知)「すきなかたち展」
    2016年
    西武渋谷店「縁-enishi-」
    2016年
    三越伊勢丹新宿店「現代作家の茶碗展」
    2015年
    ギャラリー数寄(愛知)「花器展」
    2014年
    ギャラリー数寄(愛知)「ぐいのみ展」以後,2015,2016,2017,2018,2019,2020,2021
    2014年
    ギャラリー数寄(愛知)「茶碗展」以後,2019

    氏家昂大

    現在、宮城県柴田郡にて制作
    1990年
    宮城県仙台市生まれ
    2013年
    東北芸術工科大学芸術学部美術科工芸コース 卒業
    2015年
    東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻工芸研究領域 修了

    個展

    2021年
    日本橋高島屋S.C.
    2021年
    ぎゃらりい栗本(新潟)
    2019年
    銀座一穂堂
    2018年
    宮城県杉村惇美術館(宮城)
    2017年
    Silver Shell(東京、京橋)
    2016年
    ギャラリー福果(東京、神保町)
    2015年
    ギャラリー数寄(愛知) 以後,18
    2014年
    LIXILギャラリーGINZAガレリアセラミカ

    グループ展

    2020年
    画廊 文錦堂「酒器展」以後,2021
    2020年
    The Stratford Gallery(イギリス)「Treasure of Japan」(イギリス)
    2020年
    銀座一穂堂「月夜の茶会」以後,2021
    2020年
    アトリエヒロ「開廊五周年企画展」(大阪)
    2020年
    うつわや涼一石「中川恭平、氏家昂大二人展」
    2020年
    酒の器Toyoda「春爛漫 花見盃」
    2020年
    Memorys Gallery敬「春の酒器展」
    2020年
    新宿髙島屋「TUAD ART-LINKS」
    2020年
    銀座一穂堂「翔ぶ鳥展」以後,2021,2022
    2019年
    うつわや涼一石(東京、大門)「後関裕士、氏家昂大二人展」
    2019年
    画廊 文錦堂(岐阜)「NEW Generation展2019」以後,2020
    2019年
    酒の器Toyoda(京都)「真夏の冷酒杯2019」
    2019年
    Memorys Gallery敬(東京、三軒茶屋)「夏の酒器展」
    2019年
    日本橋髙島屋「酒器展」以後,2021
    2019年
    日本橋三越本店「現代作家茶碗特集」以後,2020,2021
    2018年
    Silver Shell(東京、京橋)「氏家昂大、加藤委、若尾径、山田晶 4人展」
    2018年
    アトリエヒロ(大阪)「酒器展」
    2018年
    横浜高島屋「百花繚乱展」
    2017年
    ギャラリー数寄(愛知)「すきなかたち展」
    2016年
    西武渋谷店「縁-enishi-」
    2016年
    三越伊勢丹新宿店「現代作家の茶碗展」
    2015年
    ギャラリー数寄(愛知)「花器展」
    2014年
    ギャラリー数寄(愛知)「ぐいのみ展」以後,2015,2016,2017,2018,2019,2020,2021
    2014年
    ギャラリー数寄(愛知)「茶碗展」以後,2019